「どう言う意味?」

「あの雄ちゃんって人。貴斗がやけに懐いてるから」

「違う。違います!」

 貴裕さんは、私と雄ちゃんの仲を勘違いしたのだ。おかしくて、つい吹き出してしまった。

「雄ちゃんはここのオーナーの息子さんなの。私にとっては兄みたいなもので」

「そうなのか?」

「ええ」

 私が頷くと、あからさまにホッとした顔をする。

「よかった、美海にそういう相手がいなくて」

「……いてもいなくても、貴裕さんにはもう関係ないじゃない?」

「本当に、そう思ってるのか?」

 硬い声に心を揺さぶられる。

「俺の話、聞いてくれるか?」

 両肩を掴まれ、強い視線に捕らわれた。こんな日が来るなんて思ってもいなかった私は、耐え切れなくて目を逸らしてしまう。

「でも……今さら、話すことなんて」

「美海」

 真っすぐな瞳が、私を貫く。彼の本気を感じて、私はまばたきもできない。

「お願いだ、美海」

 私は、声も出せずにただ頷くことしかできなかった。