官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました

「貴斗はおりこうさんだから、わかるよな? 船はもうちょっとおにいちゃんにならないと乗れないみたいなんだ」

「もうちょっとって……どれくらい? ……すみれぐみさんになったら?」

「そうね、年長さんになったら連れて行ってもらえると思うよ」

 貴裕さんにも伝わるよう、そう言って貴斗の頭を撫でる。まだ不服そうな顔はしているけれど、貴斗も話を聞いてくれている。

「だから代わりに、明日俺と近くに釣りに行こう。貴斗がおりこうさんにしてたら、連れて行ってあげるよ」

「ほんと?」

「ああ、本当だよ」

 貴裕さんの言葉に、貴斗は涙をすっかり引っ込めた。まだ涙の痕が渇いてない頬を上気させて、目をキラキラさせている。

「貴裕さん、いいの?」

 小声で聞くと、うんと首を振る。

「……俺にはあまり時間がないからな。少しでも貴斗との思い出を作りたいんだ」