官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました

「うん、いいよ」

「時田さん、今夜はごちそうですよ。楽しみにしててください。貴斗も食べに来いよ」

「はーい……」

「なんだあれ、聞いてねえな」

 貴斗は雄ちゃんには生返事で、貴裕さんが釣った魚に夢中になっている。雄ちゃんやお客さん達を見送っていると、下を向いたまま、貴斗がポツリとこぼした。

「いいなー、たかともおさかなしたいなー」

 貴裕さんのクーラーボックスのヘリをぎゅうっと掴んで中を覗いたまま、貴斗が寂しそうな声で言う。大漁だと騒ぐ大人たちが、羨ましかったのかもしれない。

「貴斗も釣りがしたいのか?」

 貴裕さんの問いに、貴斗が顔をぱあっと輝かせた。

「うん! たかともつりしたい。おふねにのるよ」

「うーん、貴斗に船釣りはまだ無理だよ。もうちょっと大きくなったらね」

 船で一度ポイントまで出たら、そう簡単には戻れない。何もない海の上で飽きたと言って泣かれたりしたら困ってしまう。それに、船酔いも怖い。

 貴斗にはまだわからないので簡潔に言うと、貴斗はイヤイヤと首を振った。

「たかともうおおきいよ! ひよこぐみさんじゃないもん!」

 確かに、貴斗はもう赤ちゃん組ではないけれど……。

 目に涙を溜めて叫ぶと、貴斗はぐずぐずと泣きだした。