官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました

「わっ、貴斗何してるんだ?」

 貴斗がしきりに貴裕さんの顔を触っている。半日海に出ていたおかげで、日に焼けてしまったのだ。貴裕さんの鼻先に少しだけ皮がむけているところがあって、貴斗はそこが気になるようだ。しきりに指でひっかけるような動作をしている。

「そういえば、貴裕さんすっごく焼けたね。日焼け止め塗らなかったの?」

「突然だったし、そこまで気が回らなかったんだよ。そんなに焼けたか?」

「そうね、来た時とは別人みたい」

 日に焼けたせいか、顔つきは精悍さを増したようだ。違う貴裕さんを見ているみたい。近づくとドキドキしてしまう。

「おっ、貴斗来てたのか」

 雄ちゃん達もようやく船から降りてきた。大きなクーラーボックスをふたりがかりで抱えている。それに貴裕さんや他のお客さんも続いている。みんな晴れ晴れとした顔をしているから、きっと今日はよく釣れたのだろう。

「ひょっとしてそれいっぱいに魚が入ってるの?」

「そうだよ美海ちゃん、すごいだろ。じゃじゃーん!」

 誇らし気な顔でそう言うと、お客さんが効果音付きでクーラーボックスを開けて中を見せてくれた。

「うわっ、本当にすごい!」

 なんと中には、たくさんの地魚が入っていた。