官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました

「迎えに来てくれたのか、ありがとう」

 貴裕さんが貴斗のおでこにおでこをくっつけて、ぐりぐりと押し付ける。貴斗も喜んではしゃいだ声を上げている。昨日一日、一緒にいたおかげだろう。貴斗もすっかり貴裕さんに懐いている。

「たかと、ママとおべんとたべたよ。くるまでブーンてきたの」

「そうか、美味しかった?」

「おいしかったよ!」

「俺もママの作ったお弁当食べたんだ」

「おいしかった?」

「ああ、とっても美味しかったよ」

 よかった。お弁当、喜んでもらえたみたい。ホッとしていると、貴斗を抱いた貴裕さんが船から降りて来た。

「おかえりなさい」

「ただいま。美海の弁当のおかげでたくさん釣れたよ」

 そう言って貴裕さんは親指を立てた。自信ありげな表情。初めての釣りで、そんなに言うほど釣れるものなのかな?

「覚えててくれたんだな、俺の好物」

 やっぱり、貴裕さんは気づいてくれていた。

「うん、どうせ作るなら貴裕さんの好きな物の方がいいかなって思って」

 お弁当を詰めながら、喜ぶ貴裕さんの顔を思い浮かべていた。

「びっくりした。けど嬉しかったよ」

「ありがとうな」と言って、目を細める。その笑顔を見て、私は貴裕さんを喜ばせたかったんだなと気がついた。

 そんなことを考えるなんて、やっぱり私は……。