官能一夜に溺れたら、極上愛の証を授かりました

 貴裕さんは、貴斗のことを心から大切に思ってくれている。たぶん、その存在を知った時から。実際に貴斗を目にする前から。

 私は貴裕さんに相応しくないから、そんな理由で貴裕さんから貴斗を引き離すのはやはり間違っているのかもしれない。

 自分に自信がないなら、自信を持てるように努力すればいいのだ。私がしようとしていることは、ただの逃げなんじゃないかな。

 貴裕さんと再会して、まだ三日。でも自分でも戸惑うほどのスピードで、私の気持ちは変化している。

 貴裕さんが帰って来たら、貴斗にも話してみよう。あの人が貴斗のパパなんだよって。今は理解できなくても、きっといつかわかってくれるはず。


「ごちそうさまでたちたぁ」

 気がつくと貴斗はお弁当を全部平らげていた。顔にはご飯粒やケチャップがいっぱいついている。綺麗に拭き取ってあげて、私は貴斗の頭を撫でた。

「すごいね貴斗。全部自分で食べれたね」

「おいしかったよ、ママ」

「ふふ、貴斗が喜んでくれてママも嬉しいな。ありがとう貴斗」

 貴斗は毎日できることが増えていく。これからは、貴裕さんにもそれを一緒に見守っていてほしい。