「て、ていうか、なんでいきなり、キ、キスなんてしたの! いくら思春期だからってこういうこと適当な幼なじみで試すの、許されないよ! バカ!」

 私は紫音に枕を投げつけて、逃げるようにベッドから飛び出た。

 自分の体が自分じゃないみたいに感じたこと、紫音が紫音じゃないみたいだったこと、感じたことのない甘い痺れに襲われたこと、そのどれもが怖かった。

 しかも、人生初キスがあんな形であっさり奪われてしまうなんて!

 紫音はいったい何を考えているのか、さっぱりわかんないよ。

 その日私は、頭の中をぐるぐるぐるぐる回転させながら、色んな忘れ物をして学校へと向かったのだった。