「あっちに車を止めてるから行こう」


 松尾の車。


 緊張する。

 乗るんだ。
 そう思うと。



「どうぞ」


 松尾が助手席のドアを開けてくれた。


「ありがとう」


 助手席に座る。


 それから運転席のドアが開き。
 松尾が運転席に座った。







 ……緊張……してきた。



 車という狭い空間で。
 松尾と二人きり。


 バーや本屋で話した。

 そのときよりも。
 もっともっと増している。





 ……私。
 できるだろうか。
 耐えること。