「遥稀」 松尾の声が聞こえた。 一歩、また一歩。 近づいてくる。松尾が。 そうなるにつれ。 増してくる。 ドキドキが。 「ごめん、遥稀。 待った?」 そうして。 松尾が目の前に。 「私も今来たところ」 不思議。 松尾と待ち合わせて会っている。 思ってもみなかった。 松尾と関わりを持つなんて。 松尾に再会するまでは。