「好きだよ、遥稀」
「好き、松尾」
「聖志」
「え……」
「『聖志』って呼んで」
下の名前で……。
それは……。
恥ずかしい、ものすごく。
だから。
「……また今度……」
そう言ってみた。
「ダメ。
今、呼んで」
だけど。
そういうわけにはいかないみたいで。
「呼んでくれないと……」
松尾っ⁉
ものすごく苦しいっ。
呼吸ができないくらいの激しいキス。
もうダメ。
これ以上、続けると……。
「……呼ぶ気になった?」
ほんの少しだけ唇が離れる。
酸素不足になった私は必死に酸素を取り入れた。
「……イジワル……」
呼吸を乱しながらそう言うと。
「どーも」
松尾はイジワルな笑みを浮かべている。
……仕方がない。
こうなったら……。



