神獣の国への召喚 ~無自覚聖女は神獣を虜にする~

「店を追い出されるときに、マチルダから3本ポーションを渡された……作ったポーションは全部店長に渡してしまうだろうから、もし病気や怪我をしたときに飲めるように、いざというときに渡してくれと……リョウナが、私に置いていったと渡された」
 ああ。確かに。
 マチルダにダーナの分もと渡したんだ。
 借金を返すために、1本でも多くポーションを出そうとするだろうけれど。
 自分たちが病気や怪我になった時にポーションは必要だろうから。それ用にと。ダーナに知られたら全部提出しちゃうんじゃないかとマチルダにお願いしておいた。
「リョウナに、借りなんて作るつもりはない。同情なんてされたくない、返す。2本は売って馬車代に使っちまったが、絶対2本も返す、ほら、さっさと使え」
 ダーナがいら立った様子で、ポーションの瓶のふたを開いて、手動ミキサーにどくどくと注いだ。
「ありがとう、ダーナ」
「勘違いするな、お前の施しなんて受けるつもりはないから、返しただけだっ!」
 手動ミキサーで、手早くポーションを作る。
 私が弓きり式手動ミキサーで薬葉を粉砕しているあいだに、ダーナは森の中に入り、他の背負い籠を見つけて持ってきてくれた。
「駄目だね、薬葉は、あちこちに零れ落ちてしまってる」
 ダーナが籠を背負い、薬葉の木を見つけて葉っぱをちぎり始めた。
 他の木と間違えることなく、すいすいとポーション作りによさそうな葉を摘んでいる。
 そうか。長年薬葉からポーションを作ってきたんだ。葉っぱを見間違えることもないし、適した葉を見分けるのも得意だよね。
「ダーナ、この先の町で暮らしたら?」
「は?何を言ってるんだいリョウナ」
 薬葉の収穫の仕事ならダーナはうまくやれるだろう。
 ああ、そうだ。この手動ミキサー……あげようかな。薬葉を収穫してポーションにしてから出荷すれば収入も上がるんじゃないかな。……手動ミキサーはまた作ればいい。
「できたっ!飲ませ……」
 手動ミキサーを手に立ち上がろうとして、痛めた足に力が入らずふらついた。
「何してんだ、愚図だね」
 ダーナが気が付いて私の元に近づこうとして。
「ダーナ、後ろっ!」
 突然、あのパズを襲っていた犬のような狼のような獣が姿を現し、ダーナにとびかかった。
「うわぁっ!」
 ダーナが背負っていた籠を獣にたたきつける。