神獣の国への召喚 ~無自覚聖女は神獣を虜にする~

 あ、これも返すべきだったのかな?まぁ他の誰も使うわけじゃないだろうし、もともとゴミだったものを寄せ集めただけだし。問題ないよね。ゴミだったし。本当に。
 時間になったので、乗合馬車に乗って、出発!
 屋根のある立派な馬車ではない。荷馬車の二台に適当に座るような馬車だ。
 というか、実際に荷物も運んでいるようで、開いている場所に人が乗り込んでいるような形だ。
 まぁそうよね。町と町の行き来を頻繁にするような人間がそういるわけないもん。何らかの商売で物を運ぶ人の方が多いだろうし。
 私の他には、御者の老いた男性、大きな荷物を抱えた商売人らしい中年のご夫婦、冒険者なのか護衛なのか分からないけれど二人組の男性、それから、フードで顔を隠した女性だ。
 私もいれて7人。荷物のほうは、酒樽が10ほど。中身は分からないけれど、大きな木箱が6つ。それから麻袋が10ほどと大量だ。

 乗り込んで初めはガタゴトと思った以上の揺れに必死に馬車の縁にしがみついていたけれど、慣れてからは周りの景色を見る余裕も出てきた。
 薬葉はそのへんの森に生えてると言われていたけれど全然見かけない。けれど、馬車で1時間ほど進むと、ちらほらと、お茶の木じゃないかなぁーという木が見つかった。
 おお、本当に誰でも勝手に葉っぱをちぎってもよさそうな感じに生えてる。
 そこから、次第にお茶の木が増えていく。
 ああ、なるほど。馬車で2時間ほどで1つ目の町に作ってディールが言ってた。きっともうすぐ着くんだ。
 お茶……じゃない、薬葉の収穫が町の産業だって言ってたけれど、確かにこれだけたくさんの木が生えていれば収穫し放題。
 お茶を作れないかなぁ。同じように見えて別の葉かなぁ。作りたいなぁ。作るのに必要な材料は……。
 と、お茶づくりの工程を思い出しながら森をぼんやりと眺めていると、急に馬車が止まった。
「おい、まだ町じゃないだろう?どうした?」
 冒険者風の身なりの男が御者に尋ねている。
「あれ」
 御者が指さした場所、少し先の道の端に人が倒れているのが見えた。
「なんだ?人か?まだ生きてるのか?俺が様子を見てくる」
 もう一人の冒険者風の男が、ピリピリと緊張感を走らせる。
「馬車を進めて近づけばいいじゃないか?」
 商人風のおじさんが声をかける。