神獣の国への召喚 ~無自覚聖女は神獣を虜にする~

「では、いったい何の目的で、最高級ポーション……下手をするとそれ以上の品を混ぜているのか……」
 シャルルが、美しい金の髪をさらりと揺らし首をかしげる。
 執事の職にある男が、サムに聞いた話として仮説を口にした。
「効果があると、気が付いていないのかもしれません」
「それは、どういうことだ?」
「トムの話では、カクテルポーションは、それぞれ女の子が独自にブレンドするそうです。飲みやすく口当たりの良いものに仕上げたり、滋養のつくものを混ぜて少しでも元気になるようなものにしたり、中には塩などの調味料を混ぜてスープのような味にしている子までいるそうで……」
「ふーん、なるほど。もしかすると、何か混ぜたものが偶然ポーションの効果を格段に上げることになったかもしれないということか。混ぜた本人も気が付かないままに……」
「ええ、客もどれくらいの人間が気が付いたのかわかりません。カクテルポーションを求める人間の多くはポーションの効果など期待していませんから。怪我や不調があるときに飲んで効果を実感することも少ないでしょうし。腰や膝に痛みを抱えていた人間は効果に気が付いただけで……実際、どれくらいの割合で当たりが混じっていたのかも不明ですし」
 シャルルが執事の言葉に小さく頷いた。
「ちょっと、調べてみた方がいいようだな。突然知らない客がポーションを買い占めては何かあると警戒させてしまうかもしれない。トムに怪しまれない程度の本数を毎日買って持ってくるように頼めるか?」
「毎日は難しいかもしれませんね」
「どういうことだ?顔を出しすぎても目立ちすぎるのか?」
「いえ、トムの通っている店は隣町だそうで。休みの日に、知り合いに見つかって冷やかされることがないようにと、わざわざ遠出しているらしいんです」
 シャルルはすぐに執事に指示を出す。
「そうか。確か隣町の方で月の橋の目撃情報が多かったな。その調査にトムも同行させよう。まずは3日間の日程だ。調理場の方の人手が足りなければ別のところから回せ」
「調理場の方は問題ないでしょう。さっそくトムに準備をさせましょう。それからトムの知り合いにも声をかけてもらいましょう。それぞれの客はお気に入りの店員から買うような暗黙のルールがあるようで。突然別の店員から買うと怪しまれるでしょう」
 シャルルはちょっと目を細めた。