神獣の国への召喚 ~無自覚聖女は神獣を虜にする~

 ギルドの裏口をシャルルと二人で出て、10分ほど歩いた場所に小ぶりの城のような立派な屋敷があった。
「ふふ、まあ、話は食事でもとりながらゆっくりと」
 豪華な部屋に通される。
「こちらの部屋を使ってください。何か必要な者があれば遠慮なく言ってください」
 20畳ほどありそうな広さ。キングサイズのベッド、テーブルと3人掛けのソファのセット、丸テーブルとイスのセットに、部屋の奥にはバスタブのようなものが見える。部屋の中に、バスタブ?
「十分だ、と、言いたいところだがシャルル、ポーションを分けてもらえないか?」
 手の傷はまだ痛むし、二日酔いの頭痛もひどい。
「ああ、これは気が回らくて。では食事の前にポーションを持ってきましょう。それから着替えを用意させますので、そちらを使って体を……水浴びを」
 シャルルがバスタブのようなものに視線を向ける。
「水浴び?風呂じゃないのか?」
「おや?風呂をご存じでしたか。さすが異世界からおいでくださった勇者様でいらっしゃいます」
「風呂は一般的じゃないのか?この世界じゃ」
「ええ、大量にお湯を沸かして体を洗うというのはとても贅沢なことですから」
 ん?

 ちょっと待て。
 この世界には、火魔法のようなものがないのか?
 確かに、薪などの燃料を燃やしてお湯を沸かすことは燃料の少ない土地では贅沢なことだろう。
 しかし、火魔法があるならそれほどお湯を沸かすのが贅沢なことではないんじゃないか?
 もしかして、魔法が使える人間というのは、ごくごく少数という世界観か?冒険者レベルの人間が使えるような一般的なものではなく、宮廷魔導士のように、魔法が使える人間は特別でお城に雇われるみたいな、そんな感じなのか?
 火の魔石のようなものもないということなのか?魔石も貴重品?魔道具みたいなものも普及していない?
 ん?
 だが、ギルドはあった。ポーションもある。冒険者らしい人間もいた。神獣なんてのもいるらしい。
 明らかにファンタジーな世界であることは間違いないだろう。
 まだ、分からないことだらけだな。
 すぐに、部屋に2人のメイドが何度か往復してバスタブにお湯を張った。
 ふーん、二人ともなかなかかわいいじゃないか?メイドとイチャイチャってのもいいな。