神獣の国への召喚 ~無自覚聖女は神獣を虜にする~

「なぁ、鑑定魔法とか使えるやついないのか?いたら、俺を鑑定してくれ。そうしたら、俺が勇者だってわかるはずだ」
 職員の女は、足を止めて俺をちらりと見ただけで、すぐにスキンヘッドと一緒に地上へと続く階段へと足を運んだ。

 ランプの心もとない灯りだけが頼りの牢に一人残される。
 いや、一人じゃないな。向かい側の牢にも、なんか人影がある。こちらに背を向けて体を丸めて寝転がっているから、どんな人間なのかは分からない。
 はー、まぁいいや。朝になれば出してもらえるだろ。そうしたらギルド……は、どうやらアイラの息がかかっていて俺に冒険者にさせないと圧力が掛けられている可能性はある。なぜ、俺に冒険者にしたくないのかは分からないが。
 とすると、神殿だな。多分隣の建物が神殿だろう。
 先に、神殿でスキルチェックの水晶のようなものとかそういうのがあるかチェックだ。
 もしかすると、祝福を受けてから初めてスキルがもらえるとかそういう系かもしれないし。通常は5歳のときだとか10歳のときだとかなんか儀式みたいなのがあっても、異世界から来たって言えば特例で祝福の儀式とかしてくれるんじゃね?
 俺、勇者だし。勇者が現れるっていう神託とか受けてる可能性もあるよな?
 畜生、それにしても、石、硬いな。冷たいし。布団の一つも用意しろよ。
 ああ、でもこんな文化レベルの低い世界の布団、ダニまみれでむしろひどい目に合うかもしれないな。
 っていうか、ここで寝て大丈夫なのか?ネズミとかにかじられたりしないだろうな?
 くそっ。なんだって俺がこんな目に。
 体を丸めて寝転んでいるうちに、眠気が襲ってきた。
 珍しくずいぶん歩いたからな。それに、全力疾走もしたっけ……。あー、腹が減った。腕も痛い。でも、何より眠いな……。
「聞いたか、月に橋が架かったそうだ!」
「おい、それは本当か?誰に聞いた」
「上ではもうみんなが噂してるよ」
「あー、くそっ、見たかったな。なんで肝心な時に俺はこんなとこにいるんだ」
「そんなもん、酒飲みすぎて暴れたからだろうが!」
 あー、もう、うるさいっ!人がせっかく寝ていたのに、ごちゃごちゃと大きな声で食っちゃべりやがって。
 目を開くと、大柄なおっさんが何人も座り込んで酒を飲んでいる。
 は?