神獣の国への召喚 ~無自覚聖女は神獣を虜にする~

 ミミリアは楽しそうに笑いながら去っていった。周りにいた人たちも、いつまでも騒ぎを見ているほど暇じゃないのかどこかへ散っていく。
 のろのろと立ち上がって、聖騎士詰所の建物の前から移動する。
 といっても、用があるのはギルドなので、隣の建物の前に移動するだけ。
 ……って、ああ、私この町を日が暮れるまでに出て行かなくちゃならなくなったんだ。ギルドに寄って、いろいろ話をすることはできなくなっちゃったなぁ。
 ははは。本当、ざまぁないね。
 私が助けることができる人は助けたいとか思ったけれど、それどころじゃなかったみたいだ。
 ぽたりと、血が落ちる。
「ああ、これ、どうしよう。返さなくていいのかな?何にも言われなかったし……」
 リュックの中から、ポーションを1本取り出す。
 ふたを開け、一口飲むと、すぐに蹴られた顎の痛みも治まり、血も止まった。
 ふぅーと息を吐きだすと、うわーと人の騒ぎ声が聞こえてきた。
 何だろう?と振り返ってぎくりと体を固くする。
 血まみれの人が、屈強な体つきの男の人2人に両脇を支えられて連れてこられた。支えている男の人もあちこち傷だらけだ。そうして、もう一人いたひと際体つきの良い男性が、ギルドに駆け込んでいった。
「頼む、仲間がやられた。金を、金を貸してくれ!」
 大きな声が聞こえてきた。
 ん?金をギルドで借りられるの?
 というか、今は金よりも先にすることがあるよね?

「あの、とりあえず、どうぞ」
 一口飲んだポーションだけれど、血まみれの男性は呼吸も弱く、今にも息絶えそうだ。
 一刻も早くポーションを飲んだ方がいいと思って近寄ってポーションを差し出した。
「ポーションか……だが、それでは……」
 うん。まぁ、片足とかちょっと、私の作ったポーションではどうにもならないだろうけれど……。
「何も飲まないよりはましだと思うので、どうぞ」
 もう意識もはっきりしていない男性の口元に無理やり押し付ける。
 口の中にポーションを流し込むのを、男性を支えている二人は止めなかった。
 ただ、もう、辛そうな顔をして見ているだけだ。そりゃ、お友達?仲間?家族?がこんなにボロボロで今にも死にそうになっていたら、辛いよね。
「借金をして、返す当てはあるの?」