神獣の国への召喚 ~無自覚聖女は神獣を虜にする~

 売った分、瓶や薬葉を買って補充するなりしなければならなかったんだ。
「すいません……確かに、私は横領してしまいました……」
 深々と頭を下げて静かに口にすると、ぴかりと水晶が光った。
「ふむ。では、犯罪者に刑を言い渡す」
 刑?
 ああ、私、どうなっちゃうんだろう。横領ってどれくらいの罪?この世界ではどれくらいの重罪?
 奴隷落ちとかそういうのだったらどうしよう。犯罪者の入れ墨を入れられるとか?いったいどうなるのか。
 ガタガタといろいろと怖い想像が頭をよぎり、指先が震えだした。
 それを見て、ミミリアがニヤニヤと笑っている。
「い、い、き、み」
 声を出さずに、ミミリアの口元が動いた。
 馬鹿にされたような顔をされても、怒りもわかない。
 横領してしまったのは事実だし、いくら知らなかったとはいえ、人の財産を奪うようなことをしてしまったのだ。償わなければならない。……ううん、違う。
 本当は、怖くて怖くて、助けてって。どうか許してって叫びたい。
 でも……もしこれが、誰かの命を奪ってしまったとしても怖いから助けてなんて言える?言えるわけないよね。
 悪いことをしたというのはそういうことだ。

「この町、ブルーノから追放する」
 追放?
「日が暮れるまでに、この町を出ていきなさい。そして、二度と足を踏み入れることは許されません」
 え?
 町を出ていくだけでいいの?
「二度と、友達にも家族にも会うことはできないでしょう」
 ああそうか。
 私は、数日前にこの町に流れ着いただけだから、失うものなんて何もない。だから、出ていくだけでいいんだって思っちゃったけれど。
 生まれた時から町にいる人も多いのだろう。
 商売していれば店を失う。
 家があれば家を失う。
 友達も家族も、思い出の場所も……全部失うことになるのか。
 それは、辛い刑なのかもしれない。
 ぼんやりと、男の顔を見ていると、男が言葉をつづけた。
「今、水晶にリョウナの犯罪歴が記録されました。これでペナルティ1です。ペナルティの合計が5つで労働刑、ペナルティが7つになれば死刑です。くれぐれも今後犯罪に手を染めないように」
 5つで労働刑、7つで死刑……。
 それって。罪の重いでペナルティのつく数は変わっていくのかもしれないけれど、小さな犯罪でも繰り返せば死刑になるってことよね。