神獣の国への召喚 ~無自覚聖女は神獣を虜にする~

 例えば、私は昨日刺された。
 きっと、人を殺そうとするような行為はこちらでも犯罪だろう。それに加担したダーナの行いも、きっとアウトだ。
 私は、刺されたということは店長やミミリアに言った。でも、手引をしたであろうダーナのことは黙っていた。犯罪者をかくまうような行為と取られても仕方がない?
 もしかしてそのこと?
 でも、ミミリアだって知ってるみたいだし。それを言ったら同罪じゃない?
「あら?もしかして、悪いことをしていた自覚はあるのかしら?おとなしくなったわね?」
 黙って下を向いた私をけらけらとミミリアが笑った。
「さて、では聞こう。名前は?」
 裁きを行う人たち。中央に座る40半ばくらいの神経質そうな赤毛の男性が私に問いかけた。
「リョウナです」
 答えると、男の前に置かれたティッシュの箱くらいの大きな六角水晶のような形のものがぴかりと小さく光った。

「うむ、嘘はないようだ。記録された」
 え?
 今の光は、うそ発見器と記録装置のような役割があるの?
「では、何の罪を犯したのか、聞こう」
 男が私に再び質問する。
「わ……分かりません」
 本当に分からないのでそう答えると、再び水晶がぴかりと光る。
「うむ、これまた嘘はないようだな。いったいリョウナは何をしたのか?教えてもらえるか」
 今度は男は私の入れられた檻の横にある証言台のような場所に立っている。
「はい」
 ミミリアは自信満々にうなずき、私に侮蔑の表情を見せてから、男に向き直った。
「聖騎士様、この女、リョウナは横領をしました」
 は?
 横領?
「リョウナが来てから、明らかにポーションの瓶や薬葉の消費が早かったんです。きっと、横流ししていたに違いないです」
 あ……。
「それは、本当か?リョウナ、答えよ。横領をしていたのか?嘘をついてごまかそうとしても駄目だぞ。真実の水晶があるかぎり、嘘をついてもばれるからな」
 ミミリアの言う通りだ。
 確かに、私は横領したことになるんだ。
 そうだよね。いくら私が作ったポーションだといっても、その材料は私の物じゃない。
 それを勝手に売ったんだもの。
 後だしで、瓶や薬葉の材料費を払いますといっても、犯した罪が帳消しになるわけではない。
 うっかりしていた。この世界に来て、いろいろとあって、そんなことに気が回らなかったなんて……。