神獣の国への召喚 ~無自覚聖女は神獣を虜にする~

 3階建てのギルドと同じくらいの大きさではあるが、吹き抜けで天井までつながってそうな外観だ。
 出入りする人はなく、入り口にかっちりと緋色の学ランのような形の制服に身を包んだ兵?騎士?2人立っている。
「そう、よかった。遠回りとかさせてしまったわけじゃないのね。じゃあね、ミミリア」
 何の用事だろう?と思ったけれどそもそも聖騎士詰所が何なのか、聖騎士って何なのか分からないことだらけだ。
 ミミリアに別れを告げ、ギルドに向かおうとした私の手首をミミリアがつかんだ。
「あんたも、こっち」
 へ?
 ぐいっと強い力で手首をつかまれそのまま、聖騎士詰所の方に引っ張られる。

 な、何?私は確かにギルドに行くってミミリアに伝えたよね。
 ミミリアは戸惑う私にお構いなしにずんずん歩いていく。そして、絢爛豪華な建物の入り口にたつ、冒険者に比べると中庸な体格の緋色の制服の男の一人に声をかけた。
「犯罪者を連れてきました」
 は?
 犯罪者?
「どうぞ、裁きの間へ」
 犯罪者って誰?
 ミミリアの言葉に、緋色の制服の男が私を見下したような目で一瞥し、入り口の白っぽい木でできた大きなドアを開いた。
「ちょ、ちょっと、ミミリアどういうこと?確かに私は、昨日人に刺されたけど……」
 裁きの間?
「そのものが薄汚い犯罪者か」
 中に入ると、牢屋のような周りを鉄格子にぐるりと囲まれた場所が中央にあり、その正面奥には裁判官が座るような場所があった。
 緋色の制服の男が5人横並びで座っている。入り口に立っていた者たちより制服の装飾が多く、白や黄色の糸で刺繍が施されたりメダルのようなものが取り付けられている。
「はい、裁きをお願いいたします」
 ミミリアが問いかけに返事をしたとたん、部屋に控えていた男が二人私の両腕をつかんで、部屋の中央にある鉄格子に囲まれた場所に私を放り込みガチャリと鍵をかけた。
「え?ちょっと、何言ってんの?私が、何をしたって」
 ミミリアが笑い出した。
「あははは、ははは、盗人たけだけしいというか、しらを切るつもり?」
 しらを切る?
「私は何もしていないわ!それどころか、私の方こそ被害者で」
 何もしていないと言ってみたものの、私は別の世界の人間だ。知らず知らずのうちに、何かこちらの世界の法を犯してしまっている可能性もあり、言葉の途中で口をつぐんだ。