神獣の国への召喚 ~無自覚聖女は神獣を虜にする~

 転売ヤーという単語が頭に浮かぶ。
 女の子をおだてて優先的にたくさん売ってもらって、需要が高まったところで高値で転売する。100本……むしろ備蓄っていうより買占めよね。
 だって、ポーションって自分で葉っぱ取ってきてすりつぶせば作れちゃうんだから、そんなに数を備蓄する必要……ないわけよね?
 聖女のなんとかとかいう、めちゃくちゃ効果が高い自分じゃ作れない物ならいざ知らず。素人の私たちが作ったどこにでもある効果が似たり寄ったりのポーションなんて……。いざとなれば自分で作ればいいわけだし。
 それこそ、人材不足だってなら、まっとうな金額で人を雇えばいいだけだ。誰にでもできる仕事なんだから。
 しばらく待って、店長からおつりを受け取り、ハナと店を出る。
 マチルダとは軽く挨拶を交わした。ダーナはずっと寝たふりをしていた。
 刺した男たちはダーナが引き入れたと言ったら飛び起きて何か言い訳をし始めたかもしれない。けれど、もうどうでもよかった。
 ダーナのように自分ではどうすることもできなくて、助けてももらえなくて不幸になってしまった人には同情するけれど。
 同じような状況だったマチルダは、他の人を陥れようなんてしなかったんだから。自己責任と冷たく突き放したくはない。
 だけれど、自業自得で。助けてという代わりに人をせせら笑うのは……。助けてもらえないのは自業自得。
 すべての人を助けられるわけじゃない。気にしちゃ駄目だ。私のせいじゃないんだから。
「リョウナはこれからどうするの?」
 店の外に出て、ハナが私に問いかけた。
「うん、とりあえず知り合いを探してギルドのことを聞こうと思ってる」
 誰かの助けになるための仕組み……まずは現状をしっかり理解してその中で作れる福祉の形を考えたい。
「ハナは?」
「うん、あの宿にね、ポーション屋を出たらしばらくお世話になるの。ポーション作りながら宿仕事の手伝いをして。で、お客さんの冒険者で、隣の街に行く人がいたら連れてってもらおうかなぁって」
「隣街に?」
「うん。ここで働いていたってことは、すぐに噂になるから……」
 ハナがちらりとポーション屋の建物に視線を向けた。
 朝がまだ早いため通りに人の姿はまばらだ。
 売り娘たちの姿もない。