神獣の国への召喚 ~無自覚聖女は神獣を虜にする~

「金貨が丸ごと私の手から無くなってしまえば、いったい何に使ったのかと問われたときどう答えれば?もらえるはずのおつりをもらえなかったとでも?それとも、奪われた、とでも?」
 トントンと服に付いたお腹の血のあとをたたく。
「な、なんだそれは」
「昨日の夜、なぜか見知らぬ男たちがここに来て、私、刺されたんですよね。でも、見知らぬ男がここに入ってきたなんて誰が証明するんでしょう?簡単に出入りできる者が疑われませんか?ちょうど大金を手にした後に、お金も無くなったとなれば」
 店長が青ざめた。
「わ、わかった、おつりだな、今帳簿を見て計算して持ってくるっ」
「ま、待ってください」
 ハナが声をあげた。
「わ、私の借金、もうすぐ金貨3枚になるって」
「ああそうだ。後で入ったリョウナが出て行くのに焦り始めたか?仕事をするなら」
 ハナがポケットから金貨を3枚取り出す。
「まだ、金貨3枚になっていないなら、これでおつりが私ももらえますよね?」
 にこりと笑ってハナが店長に金貨を差し出した。
「な、いったいどういう……リョウナに金貨を渡したってやつか?」
 違います。コツコツハナが自分で貯めたお金です。
 が、夜な夜なポーション売りに行ってた話を詮索されてもあれだとおもったので、黙っていることにする。
 ただ、にこにこと笑って何も言わない。
「くそっ、くそっ、分かったよ、今から稼ぎ時だってのに……何人か裏に回すか」
 店長がちらりとミミリアに視線を向ける。
 そういえば、年齢的にお前も裏に回すみたいなことを言われていたよね。
「わ、私は今日も100本もすでに予約はいってます、ミミリアの作るポーションがすごく効果が高いって」
 店長がミミリアの言葉に眉を寄せる。
「急に効果が高くなるわけないだろう。それに他の娘たちからも同じような話は聞いてる。どうせポーションの需要が増して入手困難になってきたから1本でも多く安く買いたいっていう輩が持ち上げてるだけだろう?」
 店長の言葉に、ミミリアが悲しそうな顔をして、それから私をぎっと睨んで出て行った。
 なんで私をにらむかな?……まぁ、今回は店長を呼んできてもらったせいで言われなくてもいいことを言われたって考えれば……仕方がない?
 でもそうか。ミミリア以外の子たちも同じようなこと言われてるんなら、店長の言うように……。