神獣の国への召喚 ~無自覚聖女は神獣を虜にする~

「うわぁ、すごい!こんなにたくさん。あの、お金あるから、全部、ちょうだい。リョウナの作ったポーション、毎日飲みたい」
「え?全部?」
 ディールさんはギルドとの行き来もありそうだし、ハナに連れられた宿では冒険者相手にポーションを売ることもあると言っていたから、大量に買ってもらっても誰かに売ってもらえるかもと思ったけれど。
 月の精さんは、こんなに大量に買ってどうするつもりなんだろう。毎日2~3本飲んでも半年分とかあるよ?
「はい、あの、これで足りる?足りなかったらまた持ってくるね」
 手に金貨を1枚渡された。
「あ、金貨?ごめん、金貨の価値が分からない……」
 銅貨100枚で銀貨1枚だったから、もしかして銀貨100枚で金貨1枚なのでは?だとするともらいすぎ。
 10本で銀貨1枚だから、500本あったとしてもおまけとかいろいろして銀貨30~50枚もあれば……。
「あのね、リョウナが言ってたでしょ?」
「私?」

「前に、銀貨1枚渡した時に、おまけもつけるねって」
 え?おつり分はおまけ?
 いや、でももらい過ぎ、って、ああ消えた。
 月の精の姿もポーションも消えた。
「もらい過ぎ……た分は、またポーションを作って今度おまけ……あれ、でも、今ポーション需要が高まっているから値段も上がってる?店長は明日から倍の値段で売るとか言ってたし……そこまで気にしなくていいのかな?」
 助かったなら素直にありがとうと厚意を受け取ることも、世の中を渡っていくには必要なスキル……か。
 電車でお年寄りに「どうぞ」と席を譲ろうと立ち上がったのに「大丈夫です」と断られると気まずいもんなぁ。あれは素直にありがとうと座って貰えたほうが嬉しいし助かる……。
「ありがとう」
 大事に使う。自分のため。それから誰かのために。

「おはよう、ハナ」
「あ?リョウナ、今日は早いのね。って、それ、どうしたの?」
 いつもハナに起こされていたけれど、今日はハナよりも先に起きて荷造りを終えた。
 あれからまたできるだけポーションを作って鞄に詰め込んだ。それから手動ミキサーを風呂敷のようなサイズの布にくるんだ。
 使っていた寝床の布は綺麗に折りたたみ、板の上に丁寧に置いた。