神獣の国への召喚 ~無自覚聖女は神獣を虜にする~

 助けてもらえる時は助けてもらう。
 それから……。
 私に力があれば私が誰かを助けられるようになる。
 マチルダやハナ…それに。
 ダーナを助けたいかと言われれば複雑な気持ちになる。けれど、これから同じような目に会う人が出ないように、やましい商売はやめさせたい。
 きれいごとばかりを言うつもりはない。本当に行き先が無くてわらをつかむような人の受け皿としてはいいところなのかもしれないのだから。
 だけど、まっとうに生きて行こうとするものを阻むようなシステムは駄目。何とかして法的に整備できないのかな。
 契約書……だとか、最低基本賃金だとか……。

「ディールに会いに行こう……」
 決めた。
「え?ディールに?パズにも会うの?」
 月の精がびっくりした顔を見せる。
「え?ああ、もう寝ているだろうから、顔だけでも見られるならパズ君にも会いたいなぁ」
 にこりと笑うと、月の精がぎゅっと唐突に私を抱きしめた。
「パズもリョウナにいつも会いたいって思ってる。ずっと一緒にいたいって。でも、今は小さいパズはいない」
「え?パズ君、ディールといないの?」
 なんで?ディールはパズ君のことかわいがっていたようだし、途中で放り投げるような無責任な人にも思えないのに。
「あの、えっと、朝に戻る、パズえっと、夜は……」
 もしかして、夜はディールさん、パズを誰かに預けているのかな?ギルドの前の宿に泊まっているといったけれど、誰かパズ君の面倒を見てくれる人が他にいる?
 女性とか……。
 綺麗でグラマーな女性が、ディールと仲良さげに笑っている姿を想像して、うっと息をのむ。
 いや、別に、ディールさんがどういう人とお付き合いしていようと……パズ君をちゃんと面倒見てくれる人なら、それで……。
 バクバクと自分の内側に芽生えた複雑な感情に理由を持たせようとぐるぐると考えを巡らせる。
 パズの面倒を見てくれる女性がいた場合……夜にのこのこ別の女が訪ねて行っては迷惑だよね。うん。
 月の精が妙に焦った様子なのも分からなくない。
「明日にしようかな。ポーションをまとめて買ってほしかったんだけれど。あ、ディールさんに伝言は頼めますか?」
「え?ポーション?まとめて?ほかにもいっぱいあるの?」
 寝床の板を上げて、中に隠してあるポーションを見せる。
 4~500本ほどのポーション。