宿に1泊するのにいくらかかるのかパンはいくらなのかは分からないけれど。少なくとも怪しい金もない人間を泊めてくれる宿などどこにもないだろう。
助かったのは事実だ。この3日間生き延びられたのはここのおかげで間違いない。
「か、金なら俺が払う」
ディールがお金を取り出そうとした手を抑える。
「大丈夫。借金は自分で返せます」
ディールがハッとした表情を見せる。
「あ……俺は別にその……」
「分かっています。私が無能で自分で借金を返せないような人間だと見下してお金を出そうとしたわけじゃないですよね。助けてくれようとした。だけれど……私は助けてと頼んでない。いくら助けられる力があって、助けたいと思っても手を貸し過ぎることがその人のためになるとは限らないんです」
転んだ子供にいつも手を貸してばかりではだめっていうよね。立ち上がるまで見守ることも必要だと。
◆
「本当に、その、すまん……あー、騒がせた。店長も、脅すような言い方して悪かった」
店長が視線を泳がせる。
「リョウナ、助けてやるなんて偉そうなことは思ってない。ただ、俺は、リョウナのことが心配で……じっとしていられなくて」
ディールがもじもじしている。
「ありがとう。でも、一つお願いしておくね。もし、嘘をついたりだましたり、無理強いしたり、何かひどい目にあわされたら、そのときは助けてね」
暗に、店長やダーナたちにくぎを刺す。
私を騙すなと。嘘をつくなと。
「ああもちろん。どんなことをしても助ける。俺はしばらくギルドの向かいの宿に泊まっているから」
「約束ね。心配してくれてありがとう。パズにもよろしく。またね!」
ひらひらと手を振ると、ディールは名残惜しそうに2,3度振り返りながら出て行った。
ふぅと、店長が詰めていた息を吐きだした。
「なんでだよ」
ぎっとダーナが私を睨み付けた。
「なんで、助けてくれるっていうのに、こっから出してくれるって言うのに、断ったんだよっ!」
怒りに満ちた声。
ぐいっと襟首をつかまれる。
「やめろ、ダーナ。こいつに手を出したらディール様のお怒りを買うっ!彼を怒らせたらどうなるか!」
店長が私の襟首をつかんでいるダーナの肩を揺さぶり止める。
かわいそうな人だ。
「助けてくれる人がいない私たちを馬鹿にしてるのかっ!私たちを笑ってコケにしてるのかよっ!」
助かったのは事実だ。この3日間生き延びられたのはここのおかげで間違いない。
「か、金なら俺が払う」
ディールがお金を取り出そうとした手を抑える。
「大丈夫。借金は自分で返せます」
ディールがハッとした表情を見せる。
「あ……俺は別にその……」
「分かっています。私が無能で自分で借金を返せないような人間だと見下してお金を出そうとしたわけじゃないですよね。助けてくれようとした。だけれど……私は助けてと頼んでない。いくら助けられる力があって、助けたいと思っても手を貸し過ぎることがその人のためになるとは限らないんです」
転んだ子供にいつも手を貸してばかりではだめっていうよね。立ち上がるまで見守ることも必要だと。
◆
「本当に、その、すまん……あー、騒がせた。店長も、脅すような言い方して悪かった」
店長が視線を泳がせる。
「リョウナ、助けてやるなんて偉そうなことは思ってない。ただ、俺は、リョウナのことが心配で……じっとしていられなくて」
ディールがもじもじしている。
「ありがとう。でも、一つお願いしておくね。もし、嘘をついたりだましたり、無理強いしたり、何かひどい目にあわされたら、そのときは助けてね」
暗に、店長やダーナたちにくぎを刺す。
私を騙すなと。嘘をつくなと。
「ああもちろん。どんなことをしても助ける。俺はしばらくギルドの向かいの宿に泊まっているから」
「約束ね。心配してくれてありがとう。パズにもよろしく。またね!」
ひらひらと手を振ると、ディールは名残惜しそうに2,3度振り返りながら出て行った。
ふぅと、店長が詰めていた息を吐きだした。
「なんでだよ」
ぎっとダーナが私を睨み付けた。
「なんで、助けてくれるっていうのに、こっから出してくれるって言うのに、断ったんだよっ!」
怒りに満ちた声。
ぐいっと襟首をつかまれる。
「やめろ、ダーナ。こいつに手を出したらディール様のお怒りを買うっ!彼を怒らせたらどうなるか!」
店長が私の襟首をつかんでいるダーナの肩を揺さぶり止める。
かわいそうな人だ。
「助けてくれる人がいない私たちを馬鹿にしてるのかっ!私たちを笑ってコケにしてるのかよっ!」


