神獣の国への召喚 ~無自覚聖女は神獣を虜にする~

 疲れたらポーションを飲んで回復してまた作る。弓のような形の紐を棒に巻いて火おこしに使う弓切式火おこしを改良した手動ミキサー。
 ずいぶん使い慣れてきたけど、私、火を起こすのも上手にできるんじゃない?この世界の火って、どうやってるのかな?
 魔法でパッとつけられるんだろうか?ここにいるだけじゃさっぱりこの世界のことが分からない。明日は作業しながらハナに話しかけてみようか。
 ダーナとマチルダはしょっちゅう言い争いをしているから、その横で静かに会話することくらいはできるんじゃないかな?
「快調、快調!」
 あっという間に、昨日の倍。200本はできたかな。合計で300本。……って、まだ借金返済には足りないのか。うーん。そもそも、今日は2本だか28本借金して、280本分。うえぇ。まとめてたたきつけてやるとか思ったけど、もしかして、無理げー?却下される分もあるだろうし。困ったな。
「いやいや、大丈夫でしょう。最大で1日300本の借金600本作れれば……」
 1時間ほどで200本。3時間ずつ作れば600本楽勝!よし、問題ない。
 いや、いちゃもんつけて品質に文句言われなければだよね。あとは、うん、そんなに大量の置いておく場所はないよなぁ。まとめてたたきつけるは無理か……。
 寝床用の板をめくって地面に掘った穴を見つめる。
 穴を拡張するにしても、板を支える面はいるわけだし、限界があるよねぇ…。1000本入るか入らないかってとこだよ。うーん、どうしたものか。
 カチャリとドアが開く音がした。
 やばい、やばい。見つかる。
 慌てて板を伏せて布をかぶせる。
「あ、ポーションを作っていたの?」
 しまった!

 まだ板の下にしまっていないポーションが20本ほど机の上に出しっぱなしだ。見つかった。
 月の淡い光を受けて、ポーションの瓶が浮かび上がっている。しっかりと、中に緑の液体が入っているのも見える。
 幸い帰って来たのはハナだ。内緒にしておいてとお願いすれば内緒にしておいてくれるよね?
 と、思ったら、ハナがすごい勢いでテーブルまで近づき、持っていた籠の中にポーションを放り込んだ。
「え、あの、ハナ?」
「時間が無いわ。来て!」
 ハナが戸惑う私の手をつかんでドアを開いて出て行く。
「ハナ?」
「しっ。静かに」