神獣の国への召喚 ~無自覚聖女は神獣を虜にする~

 ダーナが寝転ぶ私の脇に立った。
「借金が増えるけれど、いいのかい?随分骨のない女だねぇ。そんなんだから冒険者としても成功しなかったんじゃないのかい?」
 あははははははっと、馬鹿にしたような言葉を吐き捨て、大笑いしながらダーナがいつものように薬研を手にとった。
 骨が無いね……か。
 馬鹿にすればいいわ。
 どうせ何本作ろうと難癖つけられてノルマに足りないと言うんでしょう?横取りされるくらいなら、はじめから作らない方がマシじゃない?
「サボってノルマが達成できなきゃペナルティがついて借金が増えるだけだ、さっさと働きな」
 軽くマチルダにわき腹を蹴られる。
 言葉は悪いし乱暴だが、内容は私のことを気遣っている。ペナルティがあるのか。
「余計なことを言うんじゃないよっ!」
 ダーナがイラッとして、近くにあった器をマチルダに向けて投げつけた。
「うるさいね!こいつがたくさん作れば店長だって機嫌がよくなるから悪いことじゃないだろっ、お前だってこいつの作ったものをかすめ取れてラッキーじゃないのか」
 マチルダもまけずに器を投げ返した。
 また、二人で争いが始まる。
 あーあ。もうちょっと寝ていたいんだけどなぁ。しかたない。こんなやかましい中寝ていられない。

 ハナは昨日と同じように足で踏んでポーションを作っている。
 私はどうしようか。ちょっとダーナにやられっぱなしというのもしゃくではある。そうだ。
 日本じゃ、お局様に逆らうようなことはしたことがなかった。
 面倒が増えるだけだしと思っていたから。だけど、ここじゃぁ、もう逆らわなくてもすっかり目の敵にされてるし……。今更おとなしくしていてもしかたがなさそうだよねぇ……。
 ミキサーは内緒だ。だから今日も足踏み式で作る。およそ50本。できたところで立ち上がる。
「さぁ、チェックしてやるよ、持ってきな」
 ダーナがにやにやわらって私を見た。チェックという名の横取り。もう、その手には乗りません。
 ダーナのチェックを受ける前に、30本を手の取る。
「ハナ、起こしてくれてありがとう。お礼をしたいけれど私は何も持っていないから……これがせめてものお礼。もらって」
 にこりと笑って、ハナにポーションを押し付ける。
 ダーナとマチルダが唖然として私を見ている。
 それから18本を手に取り、マチルダの元へと行く。