神獣の国への召喚 ~無自覚聖女は神獣を虜にする~

 んー、白いリンゴジュースと黄色いリンゴジュースとまではいわないけど、確かに同じものから作ったけれど違う?

「店長は何も言わなかったけれど……」
「そっ」
 私の言葉にダーナが口ごもる。
「そんなの、夜に回収だから、色なんて見えないわよ!とにかく、これはいいけど、こっちは駄目、全然駄目!」
 40本作ったものの、オッケーが出たのは2本だけだ。器の最後の方を注いだものだろう。
 ディールさんが言っていた。それなりの効果があるポーションを売っているところは腕のいい職人を雇っていると。やはり、いくら誰でも作れるといっても、差が出るのは仕方がないのだ。
 どうしようか。
 今の作り方をしていては、本数は増えてもダーナの言う濁りのあるものは作れない。ミカンやレモンをぎゅっと絞って出た果汁のような物ではなく、どちらかといえば、ジューサーで野菜を丸ごと粉砕した物を作らなければならないようだ。
 だから、すり鉢や薬研を使っていたのか……。
 ジューサー……。作れないかな。
 電気はない。ぐるぐる高速回転させる仕組みがあれば。
 刃になる部分の形は覚えている。上向きの刃と下向きの刃。
 それを器の中に入れてぐるぐると高速回転させる。中身が飛び出さないように蓋も必要だ。どうやって刃を高速回転させるの?
 両手で棒を挟んでぐるぐると……火を起こすみたいに……。
「あ」
 やってみようかな。
 作業場を眺める。
 ミキサーの材料になりそうな縦長の器。丸くて増しやすそうな長い棒。それから、折れた包丁だかナイフだかがあった。歯がガタガタだ。
 ガタガタしているところが逆にミキサーの刃みたい。
 叩いて形を反らせてしっかり木の棒の先に括り付ける。
 器の蓋には、棒を通す穴が必要。でも、そんな都合のいい形のものなど……って、あった!そもそも器の蓋の中央、取っ手が取り付けられててそれを外すと真ん中に穴!
 あとは、棒を回す動力。
 成功するといいなぁ。
 午後はずっとミキサーづくりに没頭して、1本もポーションは作らなかった。
「今日の分の回収だ」
 昨日と同じような時間になり、店長が姿を現す。
「ハナは21、またノルマに足りないな。そろそろあっちで働いてもらわないとなぁ。うちも慈善事業じゃないんだよ」