神獣の国への召喚 ~無自覚聖女は神獣を虜にする~

 テンプレ、姫騎士。いや、冒険者だけれど。ビキニアーマーじゃないのは残念だが。
 彼女が俺のパーティーメンバーになるのかな。
 金髪に青い目。そしてなんといっても鎧で押しつぶされているとはいえ、大きな胸は隠しきれていない。
「はぁ、あの、犬のような姿のモンスターに襲われて……」
「血が、出ているな」
 女性が俺の腕を見た。
「危なかったが、俺くらいになれば、何とか逃げだることができた」
 女性の目が血まみれの腕を再び見る。
 ここは、癒し魔法の出番か?
「ポーションは?」
 ポーション、そっちか!
「持っていない」
「ふぅーん」
 女性はそれだけ言うと、南……俺の逃げてきた方に向かって歩き出した。
「まて、危ないぞ、まだあの危険なモンスターがいるかもしれない」
 女性が振り返った。
「あっちの街に用があるんだ」
 それだけ言うと、すたすたと再び歩き出した。
 どうする、俺。
 彼女との出会いは運命か?ハーレム要員なのか?
 南へ進めばあの危険な奴がいる。フェンリルのような強敵に違いないんだ。
 いくら立派な剣を背にして、強そうに見える女性でもだめだろう。
 勇者である俺がまったく歯が立たなかったんだから。
 しばらく進むと、あの犬のようなモンスターの姿が見えた。
 やばい。まだ居た。
 逃げないと……。
 と、思ったら、女性がすごいスピードで駆けだした。犬に向かって。そして、背中に背負った剣をするりと抜くと、一閃。
 ポーンとモンスターの頭が飛んで行った。体はまだ頭を失ったことに気が付かないまま1,2歩と進んでばたりと地面に伏した。
 え?
 勇者の俺が全く歯が立たないモンスターを一瞬で……?
 女性は剣を持ったままその場に立ち尽くしている。
「強いね、びっくりしたよ」
 俺を待っていてくれているのかと思って慌てて近づく。
「お前を襲ったのはあれか?」
 低い声で女性からつぶやきともとれる言葉が聞こえる。
「ああ、そう。この辺だったし、アレだよ。腕をかすめられたが何とか逃げることができた。その強敵をあっという間に倒すなんて強いね。もしかして二つ名持ちの……」
 ぶへっ。
 こぶしが飛んできた。思いっきり右頬を殴られ、しりもちをつく。
「な、何をするんだ」
 目の前にちかちかと星が飛ぶ。
 女性は俺の方をこれっぽちも見ることなく、森に視線を向けたままだ。