神獣の国への召喚 ~無自覚聖女は神獣を虜にする~

「わ、私、見下してなんか……」
「じゃぁ、なんだよ、金貨3枚払って助けてくれる王子様でも待っているってのかい?はっ。お前みたいなかわいくもない女に金貨3枚も払う男がどこにいると思ってんだ」
 お金の価値が分からないから何も言うことができない。
 ハナに魅了があるとかないとかそういうことではなく、金貨3枚が300万円くらいなのか3億円くらいなのかで全然話が違うからだ。
 ……3億円なんてどう返済するのか。
 マチルダが私を見て口を開いた。
「悪いことは言わない、借金がかさむ前に、誰かに金を借りて今日の分払って出て行っ」
 マチルダの顔をダーナが殴った。
「何を言ってるんだ。こいつを逃がすようなこと言って。店長にちゃんと指導しろって言われた意味が分かってないわけじゃないだろう、逃がすなってことだよっ!」
 ダーナがぺっと私に唾を吐きかける。
「逃げられると思うんじゃないよ」
 マチルダとダーナの二人がドアの向こうに消えると、ガチャリと鍵を閉める音が聞こえた。
「……」
 あー、女ばかりの職場……思っていた以上にハードだった。
 マチルダはどうやら根はいい人。忠告してくれようとしたんだよね。
 ダーナは店長の手先。ハナは……。
「えっと、食事は無いのよね?寝る場所は?」
 ハナに話しかけると、小さな声で答えが返ってきた。
「食事は、さらに借金すればもらえます。寝る場所はあそこ。あそこがダーナの寝る場所で、あそこがマチルダ。私はあそこです。前に使っていた人の物はそのまま使って大丈夫」
 と、指さされた場所には、ベッドなんてあるわけもなく。屋根があるだけの場所。土がむき出しになった地面に畳1枚ほどのおおきさお板と布が置かれている。
「布だからマシなのかな……平安時代の庶民は板の上にむしろをかぶって寝ていたっていうし……」
 寝る場所と食事つきの仕事がこれ……。って、詐欺だよ。
 ううん、嘘はないといえば嘘はない。私の想像とちょっと違っただけ。日本じゃないんだもん。
 お腹がすいたけれど、もう寝よう。明日はきっとノルマを達成できるだろうし。
 リュックを枕にして、板に体を横たえ布をかぶった。

★浩史視点★
「どうした?」
 なんと!
 鎧に身を包んだ美女が姿を現した。
 20歳くらいだろうか。そうか、これか。