神獣の国への召喚 ~無自覚聖女は神獣を虜にする~

 注ぎ口の着いた小さな片手鍋のような形のもので瓶に入れているけれど、瓶の口は小さくてこぼさないようにかなり慎重に行っている。
「あっ」
 3年いると言っていたつり目女性の背中を、最年長の女性がドンッと肘で着いた。
 手元がくるって、3年いると言っていた女性は瓶を取り落としてしまう。
「何をするんだよ!ダーナ!」
「ごめんなさいね。ちょっと肘が当たってしまったようだわ。あはははは」
 絶対に、わざとだ。一番年長の女はダーナと言うらしい。
 なぜ、ダーナそんなことをするのだろう。
「自分がいまだにノルマをこなせないからって、嫌がらせ?」
「なんだよ、お前のノルマは20本だろ、私は25本ノルマが課せられてるんだっ!」
「知らないわよ、そんなのっ!」
 二人がののしり合いを始めた。
 何を足の引っ張り合いをしているんだろうと、ちょっと呆れる。もう一人は、おとなしく黙々と作業を続けていた。
 私も、黙々と作業をするだけ。
 今日は30本は無理だろうなぁ。そうすると借金か。例えば200本分借金したとしても、毎日50本作れば、ノルマ30本+20本返済分で10日で返済できるよね。1日が8時間労働ではなく、12時間労働と考えればなんかそれくらい作れそうだよね……。んー、でも20本や25本が無理って言っているけれど……。
 薬研でちまちますりつぶしてるからじゃない?
 瓶に移し替えるときに時間かけ過ぎじゃない?
 争ってる時間が無駄じゃない?
 足踏みをやめて布にくるんだ薬葉の様子を見る。
 布は緑に染まり、器に汁がしみだしている。

 どんぶりのような器に、汁を絞り入れる。木を使ってぐりぐりねじって絞れるだけ絞る。
 それから、何に使うのか分からないけれど、皮の端キレみたいなものがあったので、くるりと丸め円錐のような形を作る。ロートの代わり。
 とがった先を瓶の口に当て、出来上がった汁を瓶に詰めていく。小さな瓶の口でも、それほど慎重にならなくても移し替えることができる。
 私の作業の様子を黙々と作業していた子がじっと見ていた。
 瓶に蓋をしながら数を数える。
「13本か。うん、結構できたよね」
 かかった時間は1時間半くらい?このペースなら、1日作業すれば全然いける。
「時間だぞ、今日の分を提出しろ」
 店長が、ドアを開いて顔を出した。