驚いて後ろを向くと、ナナミアちゃんが仁王立ちで私を見下ろしていた。
目には憎しみの色が見える。
「元冒険者だか何だか知らないけど、私たちを馬鹿にしてるんだろ?ここに来れば女ならだれでも働けると思って、誰でもできる仕事だと思ったんだろ」
何を言って……。ああでもディールさんも確かに、あそこはいつも人を募集してるから大丈夫だろうって言っていた。
「だけどね、私たちだってきれいになるために頑張ったり、流行の服を探したり、冒険者との会話についていけるようにモンスターの勉強したり努力してるんだよっ!」
馬鹿にしてるわけじゃないけれど。でも、何も言い返すことができない。頑張っている子たちからすれば、女か男かもわからないようなズボン姿でふらりと働きたいなんて現れた私が癪に障るのはよくわかるから。
「あははは、残念だったね。表で働けなくて。お前は一生、ここでみじめに暮らせばいいんだよっ!」
バタンと大きな音を立ててドアが閉められる。
みじめ?
立ち上がって、大きく息を吸い込む。
ああ、いい香りだ。
何がみじめなの?
◆
まぁ、人前に出たい人だと思われていたのなら、裏方に回されたらかわいそうって思うかもしれないけれど……。正直私はほっとしている。
ミミリアちゃんは19歳って言われてたなぁ。それでも行き遅れるぞと店長にくぎを刺されていた。店の前に立っていた子たちは皆若そうだったし。29歳の私に務まるとは到底思わない。
改めて、部屋にいる女性たちの顔を見る。同じ年くらいから、少し年上の3人だ。
「初めまして。今日からここで働くことになりました、リョウナです。よろしくお願いします」
一番年長の、30半ばと思われる女性が手を止めてこちらを見る。
痩せて頬骨が出ているが、目はギラギラと強いまなざしを浮かべている。薄茶色の髪の毛は艶はないけれどしっかり手入れをしているようで後ろで丁寧に結ばれていた。表で昔働いていたのかな?女性らしく整えられた髪を見て思った。
女性は、薬葉を薬研のような道具ですりつぶしている。
「ノルマはいくつ」
「あ、はい。30本と言われました」
ぷっと、答えたとたんに女性の奥で作業をしていた噴出した。
何がおかしいんだろう?
「ふぅーん。30本に足りなきゃどうなるか知ってるかい?」
つり目で玖sンだ灰色の目をした女性だ。
目には憎しみの色が見える。
「元冒険者だか何だか知らないけど、私たちを馬鹿にしてるんだろ?ここに来れば女ならだれでも働けると思って、誰でもできる仕事だと思ったんだろ」
何を言って……。ああでもディールさんも確かに、あそこはいつも人を募集してるから大丈夫だろうって言っていた。
「だけどね、私たちだってきれいになるために頑張ったり、流行の服を探したり、冒険者との会話についていけるようにモンスターの勉強したり努力してるんだよっ!」
馬鹿にしてるわけじゃないけれど。でも、何も言い返すことができない。頑張っている子たちからすれば、女か男かもわからないようなズボン姿でふらりと働きたいなんて現れた私が癪に障るのはよくわかるから。
「あははは、残念だったね。表で働けなくて。お前は一生、ここでみじめに暮らせばいいんだよっ!」
バタンと大きな音を立ててドアが閉められる。
みじめ?
立ち上がって、大きく息を吸い込む。
ああ、いい香りだ。
何がみじめなの?
◆
まぁ、人前に出たい人だと思われていたのなら、裏方に回されたらかわいそうって思うかもしれないけれど……。正直私はほっとしている。
ミミリアちゃんは19歳って言われてたなぁ。それでも行き遅れるぞと店長にくぎを刺されていた。店の前に立っていた子たちは皆若そうだったし。29歳の私に務まるとは到底思わない。
改めて、部屋にいる女性たちの顔を見る。同じ年くらいから、少し年上の3人だ。
「初めまして。今日からここで働くことになりました、リョウナです。よろしくお願いします」
一番年長の、30半ばと思われる女性が手を止めてこちらを見る。
痩せて頬骨が出ているが、目はギラギラと強いまなざしを浮かべている。薄茶色の髪の毛は艶はないけれどしっかり手入れをしているようで後ろで丁寧に結ばれていた。表で昔働いていたのかな?女性らしく整えられた髪を見て思った。
女性は、薬葉を薬研のような道具ですりつぶしている。
「ノルマはいくつ」
「あ、はい。30本と言われました」
ぷっと、答えたとたんに女性の奥で作業をしていた噴出した。
何がおかしいんだろう?
「ふぅーん。30本に足りなきゃどうなるか知ってるかい?」
つり目で玖sンだ灰色の目をした女性だ。


