「しょ、食事もつくんですか!」
朝と晩といっていた。昼はもともと食べない習慣なのか、それとも単に自分で用意しないといけないのかは分からないけれど。
「ああ、だが、1本でも足りなければ食事は抜き。それから30本を超えた分は、1本銅貨1枚で買い取り」
銅貨1枚?
それが金額として大きいか小さいかは分からない。でも、たとえ100円だったとしてもありがたい。住むところと食事が確保できるだけで天国みたいなものだ。後は、この世界のことをが少しずつ分かってきたら、転職するなりすればいい。贅沢なんて言える立場じゃない。
「じゃぁ、ナナミア、作業場にその子……名前は?まぁいい、連れて行って説明しろ」
店長が再び帳簿に視線を落とす。
◆
店の外はにぎわっているけれど、店の中はポーションが棚に並んでいるけれど客の姿はない。店長が奥に座っているだけ。お客は皆女の子目当てなのだろう。いや、ポーションが目的であれば、他にも店があるのだからこの店を選ぶ必要はないのか。
「こっちよ」
ナナミアちゃんが店の奥の扉を開いて、薄暗い廊下を進んでいく。4mほど進むと、古びた扉があり、ナナミアちゃんが開いて中に声をかけた。
「新人、かわいがってやりな」
ドアの中というか、外は中庭のような場所だった。屋根はあるけれど、壁はない。
中には3人の女性がいた。表で働いている女性とは違い、汚れた服装の生活に疲れたたような表情の女の人が一斉にこちらに視線を向ける。
それぞれが、簡単な木の台の上で何か作業をしていた。ポーションの瓶に青汁を入れている人もいる。
ここで、ポーションを作っているのだ。大きな籠がいくつか置かれ葉が見える。あれが材料となる薬葉なのだろう。
ああ、それよりも、ドアを開いた瞬間にふわりと舞う匂い。
少し青臭くて、そしてさわやかな5月の風を連想させるこの香り……。
懐かしい、大好きな……実家の香だ……。
浩史が馬鹿にした私の実家。実家は農家。お茶農家……。摘まれた葉っぱはお茶の葉の香りに似ている。
この香りをかぎながら作業できる。私は運がいい……。
胸が熱くなりながら立ち尽くしていると、ドンッと背中を強く押された。
あまりの勢いで、中庭に倒れこんで両手をつく。
「何をぐずぐずしてるのっ!さっさと入りなっ!」
え?
朝と晩といっていた。昼はもともと食べない習慣なのか、それとも単に自分で用意しないといけないのかは分からないけれど。
「ああ、だが、1本でも足りなければ食事は抜き。それから30本を超えた分は、1本銅貨1枚で買い取り」
銅貨1枚?
それが金額として大きいか小さいかは分からない。でも、たとえ100円だったとしてもありがたい。住むところと食事が確保できるだけで天国みたいなものだ。後は、この世界のことをが少しずつ分かってきたら、転職するなりすればいい。贅沢なんて言える立場じゃない。
「じゃぁ、ナナミア、作業場にその子……名前は?まぁいい、連れて行って説明しろ」
店長が再び帳簿に視線を落とす。
◆
店の外はにぎわっているけれど、店の中はポーションが棚に並んでいるけれど客の姿はない。店長が奥に座っているだけ。お客は皆女の子目当てなのだろう。いや、ポーションが目的であれば、他にも店があるのだからこの店を選ぶ必要はないのか。
「こっちよ」
ナナミアちゃんが店の奥の扉を開いて、薄暗い廊下を進んでいく。4mほど進むと、古びた扉があり、ナナミアちゃんが開いて中に声をかけた。
「新人、かわいがってやりな」
ドアの中というか、外は中庭のような場所だった。屋根はあるけれど、壁はない。
中には3人の女性がいた。表で働いている女性とは違い、汚れた服装の生活に疲れたたような表情の女の人が一斉にこちらに視線を向ける。
それぞれが、簡単な木の台の上で何か作業をしていた。ポーションの瓶に青汁を入れている人もいる。
ここで、ポーションを作っているのだ。大きな籠がいくつか置かれ葉が見える。あれが材料となる薬葉なのだろう。
ああ、それよりも、ドアを開いた瞬間にふわりと舞う匂い。
少し青臭くて、そしてさわやかな5月の風を連想させるこの香り……。
懐かしい、大好きな……実家の香だ……。
浩史が馬鹿にした私の実家。実家は農家。お茶農家……。摘まれた葉っぱはお茶の葉の香りに似ている。
この香りをかぎながら作業できる。私は運がいい……。
胸が熱くなりながら立ち尽くしていると、ドンッと背中を強く押された。
あまりの勢いで、中庭に倒れこんで両手をつく。
「何をぐずぐずしてるのっ!さっさと入りなっ!」
え?


