神獣の国への召喚 ~無自覚聖女は神獣を虜にする~

「すまなかった。そのポーションのことを教えてほしい。もしかして、リョウナが作ったポーションじゃないのか?」
 背の高い男が私の手をつかみ、手に平に金貨を2枚握らせた。
 ふん。なるほど。
 なかなか分かっている。
「そうだね、リョウナが作ったと言えば作ったが、作ってないと言えば作ってない」
 背の低い男の方は騙しやすそうだ。ちょっと挑発すれば怒り狂って冷静な判断力を失う。
 だが、背の高い男……。嘘だと見抜かれないように慎重に相手をしなけりゃならない。金を請求したのも演技だ。
 こういう輩は、私らのような下々の人間は金をちらつかせれば思い通りになると思っている。だから、金貨1枚なんて大金を吹っ掛けてやった。
「どういうことだ!いい加減なことを言うと、聖騎士詰所に連れていくぞ!」
 さっそく脅しの言葉を出したね。ここで、おびえるふりをした方がいいか。それとも余裕を見せた方がいいか。
 一瞬の判断で余裕を見せることにした。
「ああ、かまわないさ。私は嘘なんてついちゃいない。なんなら、真実の水晶の前で話をしてやってもいいよ。旅費をくれるんならね」
 ニタリと笑って金の要求を入れる。
 背の高い男が、ポケットから銀貨を4枚取り出した。
「すまんが、手持ちはもうない。これで教えてもらえるか」
 本当に連れていかれては困るんだが、余裕を見せたことで嘘は言わないと信じたようだ。
「おい、金額に見合わない情報しかなきゃ、詐欺で訴えるからなっ!」
 背の低い男がぎっと、睨んできた。
 ちょうどいい。話をもったいぶらずにするタイミングをくれてありがとうよ。
「分かったよ、話すよ。これはもともとリョウナが使ってた道具さ。それを、私がもらったのさ」
 嘘は一つもついていない。だけれど、今度は嘘をついているように思わせないとダメだ。

「リョウナは、快く、私に譲ってくれたよ」
 快くという部分に含みを持たせる。これで、半ば無理やり奪ったように思ってもらえればいいが。
「あんたら、わざわざリョウナを探してこんなところまで来たってことはさ、リョウナが作ったポーションの話が知りたかったんだろ?」
 もう一度手を差し出す。
 金を要求する仕草だ。
「もうないと言ったはずだ」
 背の高い男の言葉に、その斜め後ろにいる背の低い男に視線を向ける。
「そっちはまだ持ってるだろ?」
「なんだと?」