神獣の国への召喚 ~無自覚聖女は神獣を虜にする~

 そんな見る機会もないような代物を、リョウナはあっというまに作り出してしまう。
 どれほど異常なことなのか。本人には全く自覚はないようだが。
 そして、それを原料にして売っていた店も、まったく気が付かなかったわけだから、間抜けもいいところだ。
 まぁ、今頃気が付いて、店長はリョウナの扱いを悔いているかもしれないけどね。想像すると愉快だよ。
「いや、だが、黒髪の女だと聞いているだろうから、この女性じゃない」
 背の高い男が首を横に振った。
 やはり、リョウナを探しているね。
 町の人たちとの秘密。それはリョウナのことを誰にも話さないということだ。
 私が、お願いした。
 どうやら一緒に行動しているディールという男は冒険者によるとかなり重要人物のようだったから。
 事情のある人間だろうから、何も言わない方がよいという判断も早かった。命の恩人を守るためだという私の言葉にも納得してくれた。
 もし、リョウナのことを探している、探っている人間が町に現れたら、私のところに案内してくれと頼んである。

 もし、こいつらが本当に聖騎士だったとして。リョウナを探している理由が、作り出すポーションの力にあるということならば。
 間違いなく、リョウナは利用される。
 あれほど効果の高いポーションを大量に作り出せるリョウナだ。
 利用しない手はない。
 そして、リョウナは……人がいい。すぐに騙されて、いいように利用されてしまうのだろう。
 人々を救うためにポーションを作れと言われれば、ほいほいと……いくらでも作るのだろう。
 それが、自分たちの権力を盤石なものにするために、人々を逆に苦しめるために作らされているなどと疑いもせずに。
 聖騎士たちが、リョウナを手に入れれば……命を助けてもらいたければ言うことを聞けと、聖騎士たちが権力を強めるのは容易に想像できる。
 リョウナは……もしかするとポーションを作るためだけに、どこかへ閉じ込められ、もう二度と外の空気を吸うことができないような立場になってしまうかもしれない。
「なんだい?もしかして、リョウナを探してるのかい?」
 だましやすそうな、背の低い男の腕を取り、ねっとりと絡みついて、耳元で声をかけてやる。
「放せっ」
 思った通り、背の低い男は迷惑そうに私を振り払った。
 本当に、単純だねぇ。