神獣の国への召喚 ~無自覚聖女は神獣を虜にする~

 赤い橋ならば、破壊神と呼ばれる神獣が。
「歴史上、一度に2神が地に降り立つなど聞いたことがございません」
「ああ。だが……見間違いではないのかもしれない。とても人の手で倒したとは思えない、大量のウルビアの死体が見つかったとの報告も受けている。強い力で引きちぎられたような死体が混じっていたそうだ……」
 赤い橋を渡って破壊神が現れるのか。
 白い橋を渡って守護神が現れるのか。
 どの国が、誰が神獣の力を手にするのかは分からない。
 だからこそ、神獣の力に対抗できる手段があるなら……。
「カヤク……か」


★視点偏向ダーナ★
「ダーナさん、来ましたよ、お客さん」
 思っていたよりも早いな……。
 ブルーノの隣の町に来てから2日目。
 すでに、町の仲間として私のような者も受け入れられていた。
 ……リョウナが町の人たちの命を救ったからだ。リョウナの仲間として認識されていた私は、そのおこぼれとしてそれなりによくしてもらっている。
 いいや、もしかすると、同じ秘密を共有する仲間としてすぐに受け入れられたのかもしれない。
 秘密の共有というものは、仲間意識を強くするもんだ。
 そう、この町には町の人たち全員で一つの秘密を共有している。2日前から。
 借り住まいさせてもらっている家の台所で、ポーションを作る下準備をしていた私は、立ち上がって家の外に出た。
「何の用だい?」
 家の外に出ると、姿勢の良い旅人風の服装をした男が2人いた。
 はんっ、変装してるつもりかね?
 何か武器を隠し持ってるんだろう?
 そんなに姿勢よく立ってるなんて、そうとう鍛えられた者だろうよ。
 ポーション屋で裏の仕事をしていると、事情のある人間やヤバイ人間を見る機会もあった。それで、だいたい所属してる場所がわかるようになったが……。
 隙を見せずにあたりの気配をうかがっている様子に、姿勢が良い。かなり体を鍛えた者だ。
 顔や髪を汚し、それなりに使い込んだマントや革靴を身に着けるなど、変装の基本は押さえている。しかし、姿勢やしゃべり方を演技するほどではない。間諜のようなその道の人間ではない。貴族の手先の裏仕事をするものではない。
 表で仕事をしている人間だろう。騎士……聖騎士か?
「誰だ、お前は?」
 背の低い方の男が、私を見て口を開いた。