神獣の国への召喚 ~無自覚聖女は神獣を虜にする~

「本当はね、知らなかったとはいえ……あの、犯罪を犯しちゃったの。街を追放されたの。だ、黙っていてごめんなさい、だ、だから、街の中には今日の日が沈むまでしか行けないから……」
 私はずるい。
 ディールは優しいから。犯罪者なんかと一緒に居られるかなんて言わないんじゃないかって思って。
 だから逆に、もう私と一緒に居られないとは言えないんじゃないかと思って。
 ディールがまた驚いた顔をしている。
「ディール、やっぱり、嫌だよね?街を追放されるような、犯罪を犯した人間と一緒にいるなんて……」
「そんなことはないっ!」
 ほら。
 ディールは、優しいもの。
「リョウナが、パズや町の人たちを、自分の身を顧みずに助けたことを俺は知ってる。そんなリョウナを追放するなんて……ブルーノの街のほうがどうかしてるんだっ。俺は、リョウナと一緒に居たい。リョウナがいやじゃなきゃ、リョウナがたとえ世界を敵に回しても、俺はリョウナのそばに居たい」
「ディール、私は世界を敵に回したりしないわよ。ありがとう、じゃぁ日が暮れる前に街に行ってパズを連れて、それから……」
 どこへ行こうか。
「ちょ、ディール?私はおんぶでいいって!」
 ディールが私をお姫様抱っこした。
「リョウナの顔を見ていたい」
 ちょ、何で、そんなセリフをさらりと言うのよっ。
「い、いやよっ!ちょ、ディール、ちょっと考えたらわかるでしょう!なんかもう、汗とかそう、ウルビアとかの血とか、薬葉の汁とか、顔とかぐちゃぐちゃだよね?私、これでも女なの!いい年してても、まだ女の恥じらいあるんだから、ちょ、見ないでってっ!おんぶして!何笑ってんの?あのね、こういう嫌がることを面白がって辞めないのって、いじめなんだからね?嫌われる行為なんだからね?」
 びしっと叱ったら、ディールは素直におんぶしてくれた。
 はー。よかった。
 汗とウルビアの返り血と、土汚れと、ぐちゃぐちゃの顔なのに、ディールってばすごくイケメンなんだもん。ドキドキして心臓止まるかと思った。

★視点変わるよ★
「シャルル様」
「どうだ、コウの様子は」
 シャルルが執務室で浩史の監視役を頼んだ侍女からの報告を聞く。
 彼女は特殊な訓練を受け、どんな毒物も薬も効果がない体となっている。