神獣の国への召喚 ~無自覚聖女は神獣を虜にする~

 目の前にいるディールが赤く輝いて見える。
 赤なんで、情熱の赤?バラ色?
 やだ、なんで、そんな風にディールが見えるんだろう。
 って、違う。魔法?
「ディール、光ってる」
 ディールがキラキラして見えるんじゃない。本当になんだかキラキラしてるし、赤い光に包まれてるし、その光がまっすぐと空へと伸びている。
 ディールも自分が光っていることに気が付かなかったみたいで、空を見上げて、赤い光を見て驚いた顔をしている。
「まさか、俺が……」
 ディールが驚いたためか、すぐに魔法の光は収まった。
「そんな……俺が、俺の力は……」
 がくがくと、ディールが自分の手を見て震えだした。
 なんだろう?魔法が使えないと思っていたのに、使えることに初めて気が付いたとか?
 ディールが真っ青な顔をして、私の顔を見た。
「リョウナ……ごめん、俺……俺……リョウナと一緒には……いてはダメだ……赤い、赤い光が……」
 私と一緒居いてはだめ?
 なんで急に。
 ……あ。
 ふと唇に視線が向く。
 同意を得ずにキスしてしまったことを後悔しているとか?えーっと。

 その、ですね。驚きましたが、セクハラだ訴えてやるとは思えなくてですね。
 西洋人って、割とハグもキスも日常の挨拶的なところがあることは分かっていますし。いや、異世界人がどうなのかは分からないし、この世界でのチューの意味も分からないけれど……。
 あれ、もしかすると赤い光を発するのは、なんか見られたらすごぉーーーーく恥ずかしい意味があったりするのかもしれないけれど。私には分からないから。
 だから……。
「ディール、今の綺麗だったね。1色の虹みたい!」
「え?」
 ディールが目を見開いた。怯えの表情が少し消えた。
「どこまで、あの光は伸びたのかな……。綺麗だったね」
 空を見上げると、白い3つの月が浮かんでいた。
「リョウナ……俺は……」
「さぁ、早く街へ行きましょう。パズ君が寂しがってるわ」
「リョウナ……」
「ふふ、嘘だよ。私が早くパズ君に会いたいの。それに、私、本当は……」
 なんだろう。ディールが、私といてはいけないと思っている。どこかへ行ってしまいそうで。
 どうしたら引き留められるんだろうって。そう考えたら……。