神獣の国への召喚 ~無自覚聖女は神獣を虜にする~

 私も皆と一緒に馬車で町に行ってしまったら……と考えれば全く私の手柄ではないわけではないので、感謝を素直に受け取っておく。
 少し進んで、振り返る。
「あ、狼煙が」
 煙が弱くなってきている。
「すいません、先に言っていてください。火を少し大きくしてから追いかけます」
 リーダーに声をかけて小走りで戻る。
 しっかりと乾いた木を道のわきの森から持ってきて、火にくべる。
 黙々と、再び煙が上がった。
 見上げると、1本の筋のように煙が真上に上がっていく。
 雨も風もなくてよかった。私は、きっと、運がいい。
 地面に置いた手動ミキサーを持ち上げる。
 まだ中には作ったポーションが残っているから、リュックに入れるわけにはいかないので抱えて移動するしかない。
 瓶にうつしてリュックに入れてしまおうかとも思ったけれど、ウルビアの群れが来るかもしれないと言われているのだ。

 ……あ、群れが来るのに、ディール……大丈夫なのかな?強かったけれど、でも……。
 ダメだ。町まではそんなに距離がないんだよね。もう、町に行けば大丈夫なんだから、ディールに助けてもらわなくても大丈夫なんだから。
 一度大きくした火を消そうと思い直す。
「って、水もない、あー、そうだ、砂をかけて消火する方法もあった。
 とりあえず、狼煙の玉を棒で突いて焚火から取り出す。
 煙さえ出なければいいんだから。
 黙々と煙を上げている狼煙玉?に土をかぶせる。
 不完全燃焼してるから煙がこんなに出るのかな?不完全燃焼なら土をかぶせたくらいじゃ収まらない?窯で炭を作るときとかも空気ってかなり遮断されるんだっけ?
 あー、どうしよう。
 必死に土をかぶせていく。
 土の隙間から煙はまだ出ているけれど、量は減ってきた。
 これなら、大丈夫そうだ。もう少し土をかぶせればなんとかなりそう。
「!!」
 ぞくりと、背中に殺気を感じて振り返る。
「うそ……」
 森の中。
 木々の影になっている部分に、光るものが見える。
 あれは……獣の目?
 猫の目が暗闇で光っているようなものが、無数に見える。
 しまった。
 もしかしたら、血の匂い、もしかしたら仲間の死、もしかしたら……何か、原因になるものがあって……あって……。
「ぐるるる」
 じりじりと、森からウルビアが姿を現した。視線は私一点に集中している。
「ああ……」
 群れだ。