神獣の国への召喚 ~無自覚聖女は神獣を虜にする~

 4人目が意識を取り戻したのを見て、3人目の女性が青ざめた。
「だめだよ、私たちにはお金がない」
 お金?
「お金はいらない。それよりも、ダーナを、一人で獣……ウルビアに立ち向かってるダーナを助けて」
 ダーナは全身血まみれだ。ポーションで傷を治しながらだから、実際には怪我だらけではないだろう。
 でも、どれだけ痛い思いをして、どれだけ血を流したのか。
 足元がふらついている。
「くそうっ!」
 意識が戻った男たちが、そのあたりに落ちていた棒を構えてダーナの前に出た。3人、4人と。
 ダーナがふっと力尽きて地面に倒れるのはほぼ同時だった。
「ありがとう、ありがとうダーナ」

 全員だ。全員が命を取り留めた。
「よかった、皆……助かって」
 ボロボロと女性の一人が泣いている。
「ありがとう、もう私も旦那もダメだと……」
「おい、泣いてる暇はないぞっ、急いで町に帰るぞ」
 男たちが4人がかりでウルビアをどうやら倒してくれたようだ。
 腹に棒の刺さってったウルビアが倒れているのが見える。
「ああ、また群れが来たらどうにもならない」
 群れ?
「ウルビアの、群れですか?」
 1匹でもあんなに恐ろしいのに。
「ああ、そうだ。1,2匹ならどってことないが……30、いや40匹はいただろうか。気がついたら群れに囲まれていた」
 ぞくりと背中が寒くなる。
「よくあることなんですか?」
「いや。よくあるなら、俺たちも森に入って薬葉を収穫しようなんて思わねぇ。町を捨てて他の町で別の仕事をするさ」
 確かにそうか。
「話はあとだ。町に、家の中に入ればやつらは襲ってこない」
 男が、片足が不自由となった女性に肩を貸す。
 ほかにも血を失いすぎてふらつく人が支え合いながら歩き始めた。
「どれほど高価なポーションを使ってくれたのか分からねぇが……金はない。それでもできるだけの礼はする」
 リーダーのような男性が、フラフラになっているダーナを支えて私の方を向いた。
「いいえ……今、ウルビアを倒してくれたのは皆さんです。倒してもらえなければ、私はあそこで死んでいた……だから、お互い様です。私も、命を救われた。だから、気にしないでください」
 高いものじゃないんだけれど、でも、手動ミキサーを使って手早くポーションを作ることができなければ……。