神獣の国への召喚 ~無自覚聖女は神獣を虜にする~

「ぐぅっ。愚図リョウナ、助けを呼ぶなら早く呼びな」
 痛そう。痛いに決まってる。
「ありがとう……」
 ダーナはポーションの瓶から少しポーションをなめて傷を治すと、再び獣をにらみつけた。
「いくらでもかかってくればいい」
 急がないと。急がないと。
 いくらポーションで傷が治ったって、痛いことは間違いない。
 それに、血を何度も流してしまえば失血死だってある。

 倒れている人達にも早くポーションを飲ませたい。ああ、いそげ、いそげ。
 森の中から火がすぐにつきそうなからからに枯れた木や葉ッパや繊維質の何か、もう適当にひっつかんでくる。それから弓の紐で回すための木と……。
 急げ。付け。火よ、付け。
 速く、火。
 ぐるぐると回る木をにらみつけるように見る。
 なんで、どうして、早く。
 煙が上がり、ちらりと赤いものが見えた。
 急いで周りを囲って息を吹きかける。ついて!火よ。
「やった!火だ!」
 消えないように慎重に大きくしていく。そして小枝が燃え始めたのを確認して木をくべていく。ある程度大きくなったところで、ディールにもらった狼煙を入れる。
 もわんっ。
「げほ、ごほっ」
 すごい煙だ。薄紫色っぽい色の煙がたちどころに登っていく。
「お願い、見つけて」
 空を見ていなきゃ分からないよね。
 祈るようにいつまでも空を見上げている場合ではない。
 寝転んでいる怪我人の口元に、ポーションを垂らしていく。いや、もう意識もない、口も開けない、でも、まだ命はある人達の口を指で押し開いて、瓶を傾け強引にポーションを流し込む。
 誤嚥や誤飲でむせようが何しようが体にポーションさえ入れば、誤嚥や誤飲による症状も治るだろうから大丈夫と、腹をくくったので乱暴だ。
「え?あれ?どういうことだ?」
 一人目が目を開いた。
「俺たちはウルビアに襲われ……あ、ウルビアだっ!」
 ウルビアというのか。あの獣は。
 2人目も意識が戻る。
「逃げろ、逃げるんだ」
 意識を失う前のことを思い出したのか、ただ恐怖におびえて立ち上がって震えている。
「あんたが助けてくれたのか……このポーションは……」
 3人目には質問を受けたけれど構わずそのまま隣の人の口にポーションを流し込む。
「一口で動けるほど回復するポーション……そんな貴重な物……!」