「おーい、歌も一緒にやるか?」


さっきのガタイのいい男子が歌ちゃんに向かって大声で話しかけた。


対して彼女は凛とした声でキッパリと答える。


「私はいいです。石野とここで荷物を見ていますから」


「オッケー」


バレー部の人たちは歌ちゃん達に一言二言声をかけてからビーチバレーをやりはじめた。


どうやら荷物番をするっていう名目で石野くんと二人きりで話をしようとしているみたい。


ほんとに歌ちゃんはたくましいな。


昨日までは結構悩んでいたみたいなんだけど合宿最終日の今日ついに動く決心をしたんだ。


だけど、なんだかやっぱり二人とも無表情でよそよそしくてしゃべってもいない。


「行ってみよう」


西原くんにグイグイ手を引かれるけど、思わずためらってしまった。


「でもどうしよ、邪魔しない方がいいのかな?」