両親の顔を見た途端、とっさに優等生の長男の仮面をかぶっていた。


階段を駆け上がって行った千桜の気持ちが少しわかるような気がする。


やっぱり、そう簡単には言えないよな。


俺と千桜のこと。


この二人に本当のことを話したらどうなるんだろうって想像すると、申し訳ないような気持ちになる。


それに今はまだそれを千桜も望んでいない。


騙してるみたいで後ろめたいけど、しばらくは黙っているしかないなって思った。


いつかは真実を言わないといけない。


どこまでも隠し切れないだろうし。


本音を言えば、最悪な形でバレる前に出来れば自分から正直に告げてわかってもらいたいけど。


いつか……か。


おそらくそれは遠くない将来のような気がしていた。