でも本来自分でやるべきことだし、兄に今まで甘えすぎていただけだから。


結局彼にはこれまでどおりは無理だって言われて何も答えられないくらいに胸がドキドキさせられてしまった。


それってどういう意味なんだろう。


それ以上聞くのが怖くて口をつぐんだ。


食事を終わらせて準備が終わるといつものように玄関のチャイムが鳴った。


あ、矢代さんが迎えに来てくれたみたい。


兄と二人きりよりは誰でもいいから他の人がいた方がいい。


もうこれ以上彼と二人きりでいるなんて心臓がもちそうにないから。


急いで玄関を開けたら、案の定ニッコリと笑みを浮かべた矢代さんがそこにいた。


「おはようございます。お迎えご苦労様です」


「千桜さま、おはようございます。準備は整いましたでしょうか?」


柔和な話し方で尋ねられた。