「……ん……朝?」

「はよ」


翌日、いつもの布団の中で目が覚めた。

おはよ、と言った御影さんは、私の傍でスマホをいじっている。


右手はスマホ、左手は……布団から出た私の手を握った状態だ。



手……ずっと繋いでてくれたのかな。



「もしかして、寝てないんですか……?」

「あー……あんま眠くなくて」

「、…」



不眠症って言ってたし、多分嘘ではない。

でも、きっと心配して起きていてくれたんだ。



「昨日、ごめんなさい」

「なに、キスの続きできなかったこと?」

「じゃなくて、心配かけちゃって!」

「はは、別に気にしてねーよ」

「……」



そんな風に笑ってくれて、その笑顔に私の気持ちも軽くなる。

昨日聞こえた声や残像のことは、今はあんまり考えたくないから。


だから繋がれた手にだけ意識を集中して、私はまた目を閉じた―――