「………、痛っ」



寝返りを打とうと体重を傾けた瞬間、体の痛みで目が覚めた。


体中が疼くように痛い。

痛くて思うように動かない。



私、どうしたんだっけ……




「………」




ぼーっとする思考のまま、とにかく重い瞼を持ち上げる。





「ぇ……」





自分の掠れた声が空気に混じって消える中、
見えた白い天井に全身がサーッと冷えていくのがわかった。




だってここ……どこ?



頭が急速に冴えると同時に、体の冷えも加速する。




わからない。



ほんとに、なにも。



どうして怪我をしているのか、とか。

ここはどこなのか、だけじゃない。



自分が誰なのかも、歳も、家も、家族の名前も、自分の顔すらも……




なにもわからない。





私は──────ダレ?