部室に入って、私達はまず赤田さんを呼んだ。


そして、山口先生を連れてきてもらった。


『初めまして、山口先生』


私達は、簡単にそれぞれ自己紹介した。


山口先生は、か細い体に白いブラウスと紺のタイトスカート、髪はアップというお手本のような「先生」スタイル。


銀縁の眼鏡をかけていて、ちょっと暗い印象を受ける。


顔の表情が固いような気もするし…


同じ眼鏡でも凛音とは全く違う雰囲気だ。


『初めまして。副顧問の山口です』


話し方もあまり覇気がなくて…


この人に演劇部の指導が出来るのかなって…失礼ながら思ってしまった。


『山口先生、お忙しいのにすみません…少しだけお話いいでしょうか?』


丁寧に凛音が尋ねた。


『…あ、ええ。ここでは何ですから廊下に出ましょうか』


先生は部員に練習しておくように伝えてから、私達と部室を出た。


『お話とは?』


ちょっと冷たい言い方。