次に目が覚めた時、黒で統一したシンプルな部屋にいた。


どこか見覚えがあると思ったけれど…もしかして神竜の総長室?


ゆっくりと起き上がって辺りを見回すと、類が私の手を握りながら眠っていた。


ずっと傍にいてくれたのかな…


「ん…起きたのか?」


「はい…迷惑ばっかかけちゃってごめんなさい…」


「迷惑なんかじゃねぇ。俺がそうしたかったからした」


優しく頭を撫でながらそう言う類。


…そんなに優しくしないでほしい。


私の心の奥底にしまった感情が溢れてしまいそうになる。


「なんで…そんなに優しくしてくれるんですか…?」


今にも泣きそうで、最後の方は声が小さくなってしまった。


「フッ…そんなの、お前が好きだからに決まってるだろ」


いつもより無邪気な笑顔。


あ、まただ…


胸がきゅうってなる。


『恋をするとね…その人にドキドキしたり、胸がぎゅってなったりするのよ』


お母さんが昔言っていた言葉をふと思い出した。


…私、類に恋してるの?


自覚すると急に恥ずかしくなって布団で顔を隠した。


「どうした?」


「…なんでもないです」


そんな私を見て不思議そうにしているけど気にしない…


何気なく時計を見てみると、ちょうど7時を指していた。


え、嘘…!そんなに寝てたの?!


サァッと血の気が引いてくのを感じる。


「帰らなきゃ…!」


急いでベッドから降りると昼間よりはマシだけど目眩がした。


倒れかけた体を類が支えてくれたおかげで倒れずに済んだ。


「今日は泊まってけ。こんなふらふらしてて帰れるわけないだろ…熱もすごかったんだぞ?」


「でも…帰らないと駄目なんです」


帰らないと瑞希が、みんなが酷い目に遭うことは間違いない。


それに、彼の言う事を聞かないと契約違反になってしまう。