もらってください、花宮先輩。〜君の初めてが全部欲しい〜





「松井、やること陰湿過ぎない?いい加減にしろよ」
「は?わ、私何もしてな」
「自分で言ってたでしょ?ローファー泥まみれにするとかないわ。上靴脱げよ、同じようにしてやるから」




 高野さんと雨に打たれながら和解をした翌日、登校すると、隣のクラスの前で恐ろしいことが起きていた。


 松井さんを窓際に追い込み、囲むように早紀と彩菜が仁王立ちしている。登校したばかりの生徒達が、なんだなんだと遠巻きにそれを見守っていた。


 高野さんのローファーのことを二人に伝えたのは、私でも高野さんでもない。松井さんが周りにわざと聞こえるような声で、事細かに話していたらしい。先に見物していたクラスメイトから聞いた。


 そこにたまたま通り掛かった二人が、オイオイ待てと声を掛けたことで、松井さんは追い込まれているらしい。私は冷や冷やとその様子を見守っている。




「何言ってるの?だって、あいつが悪いんじゃん!あいつが私に」
「委員会の一環だろ?教師に言われてやってるんだよ。お前もその場で直せばいいだけだろ?何逆恨みしてんだよ」
「あんた達も高野さんのこと嫌いなんじゃないの?!だったらいいじゃん!」



 その声が廊下に響いた時、私は思わず一歩、その場から足を踏み出した。そして、口を開く。