目指した先は校舎裏、距離のあるその場所にたどり着く頃には、私の制服は雨を吸って重たくなり、全身がびしょ濡れだった。
花壇で泥まみれになるローファーを手に取り、身を翻す。
すると、後ろには傘をさした高野さんがいつの間にか立っていて、こちらを呆然と見つめていた。
「小森さん、なにしてるの……?」
「靴の場所、知ってるから取ってこようと思って」
「傘もささないで」
「だってないんだもん」
私は、泥で汚れ、びしょ濡れになったローファーを高野さんに差し出す。
「ごめんね、雨が降る前に先に取りにくればよかった。そしたら少しはマシだったかも」
「……バカじゃないの」
「えっ、バカかな」
「ほんと、バカだ」
高野さんはぐっと何かを堪えるように眉を顰めると、私を傘の中に引き入れた。



