もらってください、花宮先輩。〜君の初めてが全部欲しい〜





 たくさん仲間を連れてくれば怯むと思っていた相手に出鼻を挫かれ、松井さんはこちらから見ても分かりやすく狼狽える。そんな彼女に、高野さんは再び口を開いた。



「どうするの?」
「ど、どうするって……あ、アンタ私知ってるんだからね!!」
「は?」



 松井さんは高野さんの態度に顔を真っ赤にし、突如教室中に響き渡る大声を出した。


 そのせいで、休み時間で廊下にいた他のクラスの生徒達もドアの辺りに集まり教室の中を覗いている。


 松井さんはそれを確認し、勝ち誇ったような笑みを浮かべ、再び声を上げる。



「アンタが、このクラスのみんなから嫌われてんの!!」
 


 ────なんて最低なんだろう。


 私は思わずひゅっと息を飲んだ。教室の中がさらに静まり返る。確かに高野さんはこのクラスであった一件から、クラスメイト達から距離を置かれていた。


 けど、彼女がしたことは自分本意なことではなく、言葉選びが下手なだけで他人のことを想ってのものだった。